ベルリンの壁に描かれた絵、どんなメッセージがあるのか考察してみた
ドイツの首都ベルリンにあるベルリンの壁は、第二次世界大戦が残した悲しい足跡だ。第二次世界大戦後、世界は西側の資本主義と東側の社会主義に分断された。西側を代表する国は、アメリカ、イギリス、フランス。東側を代表する国はソビエト連邦。
第二次世界大戦後、両者はにらみ合い核武装をして、いつまた戦争が勃発してもおかしくない状況だった。そんな中、東側の東ベルリンでベルリンの壁が建設された。
西側を代表するアメリカ、イギリス、フランスの三カ国が西ベルリンを分割統治し、東ベルリンはソ連が統治するといった構造だ。
ベルリンはナチスが本拠地を置いていた場所で、西側と東側をベルリンの壁という物理的な壁で分断してしまったのだ。突然の東側の行為で、西側の人たちは大混乱だったという。
ベルリンの壁で分断された後はお互いに、いかに資本主義が悪いか、いかに社会主義が悪いかをプロパガンダしあうことになる。その後、東側で社会主義反対運動が起きて、ベルリンの壁が崩壊することになる。
1961~1989年までの28年間存在したベルリンの壁は、今でも記憶に新しい。過去の過ちを忘れないためにも、ベルリンには多くのベルリンの壁がそのまま残されている。観光客向けには、ベルリンの壁の破片を販売している。
ベルリンの歴史は本当に奥が深い。Youtubeなどを活用することで、どこにいても学ぶことができるので参考にしてもらいたい。
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ベルリンの壁に描かれた絵、どんなメッセージがあるのか考察してみた
私は実際にベルリンの壁に行き、ベルリンの壁に描かれた絵を見てきた。イーストサイドギャラリーという場所では、118人のアーティストがベルリンの壁に平和への想いをぶつけている。
ベルリンの壁の絵を見て感じるものは人それぞれ、今回は私が感じたもを書いていきたい。ベルリンの壁を見に行く機会があれば、一枚ずつ絵を見て色々と考察することで、その時代の人たちへの想いを馳せて欲しい。
それでは、1枚ずつベルリンの壁の絵を見ていきましょう。
ドイツとイスラエルの融合。ユダヤ人迫害へのメッセージとは
この絵は直感的なメッセージだ。ドイツの国旗の上にイスラエルの国旗が描かれている。
これは、ナチスがユダヤ人を迫害したホロコーストからきている。世界中のユダヤ人はイスラエルに集結しているので、ユダヤ人=イスラエルということだ。
ナチスによって殺害されたユダヤ人の数は600万人だ。これは千葉県住民とほぼ同じ人口である。あの大きい北海道に住んでいる人以上のユダヤ人を殺害したのだ。
ドイツの国旗の上にイスラエルの国旗が描かれているのを見て、いかに当時のドイツの権力が強かったのかイメージできる。
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東ドイツ代表とソビエト連邦代表の熱い口づけ
この絵は、東ドイツ国家評議会議長のエーリッヒ・ホーネッカとソビエト連邦最高指導者のレオニード・ブレジネフの熱い口づけを描いた絵だ。
ベルリンの壁が建設された後、両国は密接に絡みあり、お互いに永遠に社会主義を貫くことを夢見ていた。そんな両者の関係を如実に表現したのがこの絵だ。
驚くことにエーリッヒ・ホーネッカとレオニード・ブレジネフは実際に熱い口づけをしたという。何でも、ロシアでは男性同士がキスをするのは、親愛を示す行為として、当時当たり前に行われていたらしい。
結局彼らの口づけの誓いはベルリンの壁崩壊とともに、脆く破り去られることになる。
日独伊三国軍事同盟を結んだ日本
第二次世界大戦は日本・ドイツ・イタリアが軍事同盟を結び、資本主義各国と戦争をした。その日本の風景がベルリンの壁に描かれていた。まさか、ベルリンの壁に日本関係のものがあるなんて驚いた。
日本の写真を2枚掲載した。1枚目は日本を象徴する富士山と四重塔だ。注目すべきは両端にある分離壁だ。当時の日本は社会主義の名の下に大東亜共栄圏を構想していた。資本主義諸国にしてみれば日本は敵であり、美しい景色はあるけれど近寄りがたい存在なのだ。
2枚目の写真は分離壁に描かれた看板だ。そこには、「日本地区への迂回路 Detour to the Japanese sector」と書かれている。「日本地区への迂回路」は英語の直訳である。
社会主義の日本へ行くには、分離壁を越えなければならない。鎖国時代を思わせるメッセージに心打たれた。
また、残念なことに、この絵には多くの韓国や中国に対する誹謗中傷が書かれている。これは観光客が書いたものだと思うが、「竹島」「尖閣諸島」などの文字が多くあった。
社会主義各国の国旗
かつて社会主義だったソビエト連邦、ベトナム、キューバなど様々な社会主義国家の旗が描かれた絵があった。そんな中、私が見つけたのはアルバニアの国旗。
あまり有名な国ではないが、ここもかつて社会主義国家だった。しかし、他の社会主義国家を嫌い独自路線を貫き、どの国とも関係を持たない鎖国状態が最近まで続いていた珍しい国だ。
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メッセージ性のないただの落書きも多い
ベルリンの壁の絵は、全てが歴史に絡んだ絵という訳ではない。日本でも描かれているようなシャッターに描かれた絵や、街の景観を壊しそうな絵などもある。
まさに落書きしている最中のシンプソンズの絵だ。ベルリンの壁に描かれているというだけで、全くメッセージ性はない。
ベルリンの壁を見て感じたこと
ベルリンの壁に描かれた絵をいくつか紹介してみた。ベルリンの壁は数kmに及び、その絵の数は膨大だ。だから、実際に行って自分の目で確認して欲しい。
ベルリンにはベルリンの壁以外にも、第二次世界大戦を振り返るような博物館や施設が多くある。ベルリンの中心地が戦争を振る返るような街になっていた。
日独伊三国軍事同盟を結んでいた日本と比べると全く違う。日本は第二次世界大戦を振り返るようなものは、街中では一切みかけない。これは、アメリカ主導のもとに再建された日本の文化とも言えるだろうか。
私は日本人であれば誰しもが、日本が犯した過去の過ちを振り返るべきだと思う。義務教育で国民は全員学んでいるが、子供の頃に振り返るのと、大人になって振り返るのでは感じ方が全然違う。
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最後にナチスドイツやユダヤ人関係の記事をどうぞ。合わせて読むことで理解を深めよう。
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