【名のないシシャ – 山田悠介】デスノートの劣化版小説…
山田悠介というと文章が稚拙で物語の流れに整合性が取れてないなど、ネットでは散々非難されている作家だ。ぼくもその意見には首肯できるが、山田悠介の本はどれも物語の設定が面白い。物語の土台である決めごとや設定が面白いからこそ、惹かれて読んでしまうのだ。
名のないシシャの設定
自分の寿命を知りたいとは思わない
自身の寿命が分かれば死ぬまでにやりたい事をスケジュール立てして実行することができる。しかし、そこには○月○日に死ぬのだからもうどうにでもなれという、人生に対する諦めや虚無感に襲われるだろう。また、死の直前にはなにをしでかすか分からない。何をしてももう死ぬのだから…という気持ちに占められるだろう。
死が顕現することで絶望感に平伏し余生を無駄にしてしまう可能性もあるのだ。だからぼくは、シシャに会っても寿命は聞きたくない。
あくまでもデスノートの劣化版
本書はデスノートみたいに事細かにルール分けでもなく理戦も皆無である。ただただ、惰性で読了して心地よい気持ちになれる本だ。自分の寿命を他人に譲る瞬間に人間の愛情を垣間みることができる。本書に山田悠介特有のスリルやホラーを求めてはいけない。

チャンネル登録、宜しくお願いしますー!
関連記事
-
-
【虐殺器官 – 伊藤計劃】ゼロ年代のSF近未来小説第1位!
SF小説のガイドブック「SFが読みたい!」にて国内部門のゼロ年代SFベスト1位を獲得した殺戮
-
-
【向日葵の咲かない夏 – 道尾秀介】市橋容疑者も持っていた小説
死体が消えて、その死体の人物が人間ではないものになっていた! とのキーワードから購入。 物語
-
-
【時間の分子生物学 – 粂和彦】体内時計(概日リズム)と睡眠時間の関係
この本は好奇心を満たしてくれた。誰にでも持っている体内時計と睡眠時間の関係を遺伝子レベルから
-
-
【脳内麻薬 – 中野信子】快楽物質ドーパミンをコントロールしよう
快楽物質のドーパミン。これは50種類ある神経伝達物質の中で、快感を増幅するするための物質であ
-
-
【電通洗脳広告代理店 – 苫米地英人】マスメディアを傀儡する電通の実態
日本のメディアを支配している電通。 この電通のタブーともいわれる内部に切り込んでいるのが苫米