【名のないシシャ – 山田悠介】デスノートの劣化版小説…
山田悠介というと文章が稚拙で物語の流れに整合性が取れてないなど、ネットでは散々非難されている作家だ。ぼくもその意見には首肯できるが、山田悠介の本はどれも物語の設定が面白い。物語の土台である決めごとや設定が面白いからこそ、惹かれて読んでしまうのだ。
名のないシシャの設定
自分の寿命を知りたいとは思わない
自身の寿命が分かれば死ぬまでにやりたい事をスケジュール立てして実行することができる。しかし、そこには○月○日に死ぬのだからもうどうにでもなれという、人生に対する諦めや虚無感に襲われるだろう。また、死の直前にはなにをしでかすか分からない。何をしてももう死ぬのだから…という気持ちに占められるだろう。
死が顕現することで絶望感に平伏し余生を無駄にしてしまう可能性もあるのだ。だからぼくは、シシャに会っても寿命は聞きたくない。
あくまでもデスノートの劣化版
本書はデスノートみたいに事細かにルール分けでもなく理戦も皆無である。ただただ、惰性で読了して心地よい気持ちになれる本だ。自分の寿命を他人に譲る瞬間に人間の愛情を垣間みることができる。本書に山田悠介特有のスリルやホラーを求めてはいけない。

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