【黒い家 – 貴志祐介】和歌山毒物カレー事件で話題になった社会派ホラー
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保険金殺人事件を題材にした現代版ホラー小説。保険会社の存在意義や社会風刺、サイコパス犯罪についてなど現代社会のあり方についても説いている。世の中に存在する保険金殺人事件の裏側には、この様な人間模様が伏在していると思うと非常に恐ろしい。自分がサイコパスに追われている感覚になり眠れなくなること必須のホラー小説だ。
黒い家のあらすじ
保険金の査定を担当する主人公。保険加入者からの呼び出しで自宅に訪問するが、そこで首を吊った子供の死体を目撃してしまう。この事件に伴う保険金請求について問題が起こる。
主人公は子供は誰かによって殺されたと確信するが、警察はこれは縊死であり自殺だとの結論に至る。サイコパスである保険加入者が主人公に迫る数々の脅迫、どうにか保険金を貰おうと試みるが最後には・・。
和歌山毒物カレー事件との類似
本書が出版された翌年に和歌山毒物カレー事件が起き、黒い家の内容と類似していることから本書は話題をよんだ。和歌山毒物カレー事件は保険金の詐取を狙い、カレーに毒物を混入させ4名死亡たことで有名になった事件。
この事件の犯人「林真須美」が黒い家の犯人とマッチングしている。負傷する夫が妻を心から信じている点がビックリするほど非常に似ている。
サイコパスの存在とは
犯人が心を持たないサイコパスとして描かれている。サイコパスは他人や世界に底知れぬ絶望感を抱いていて、自分が見るもの全てに心象を投影している。
絶望感の持ち主だからこそ、他人を信じずこの世の可能性に諦めてしまっているのだ。驚異的なペシミストといってもいいだろう。犯人はこの世に絶望しているからこそ、他人を見下し、保険金目当てにいとも簡単に殺人を犯してしまうのだ。
ここの最近、サイコパスが犯した事件がメディアを賑わしている。象徴的なのが、秋葉原通り魔事件だろう。犯人は絶望の果てに秋葉原の大通りにトラックで突っ込んだのだ。自分の存在を脅かすこの世に邪悪のレッテルを張り犯行に及んだのだ。この事件については、犯人の親族模様が面白い。
秋葉原通り魔事件の犯人の弟が自殺、加害者が与える親族・知人への影響について
2種類のサイコパス
保険金目当てに息子や親族を殺す事件は実際に存在している。保険金査定を欺こうと犯人は試行錯誤して殺人を犯す。本書ではこの犯人を二つのタイプに分けている。先天的にサイコパスである人間、後天的にサイコパスになった人間である。
先天的であれば遺伝子に依存しているので科学技術の発展を待たない限り改善の余地はない。後天的であれば心的外傷や幼少期の接し方が起因しているので改善の余地はある。
最後の最後で作者は、この様な二つの人間の問題を提示して去っていってしまうのである。考えさせられる社会派ホラー小説だ。
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