【フリークス – 綾辻行人】精神病棟が舞台の畸形ミステリー短編集
面妖な表紙の子に誘われて本書を手にした。綾辻行人氏にしては珍しい幻想的なホラーとミステリーを融合させた作品。精神病棟を舞台に畸形で曰く付きな人たちが巻き起こすミステリー。畸形への畏怖と憧憬の描写が素晴らしい。そして三編に共通しているのが作中作だということ。
精神病棟ならではのトリック満載で雰囲気が出ている。奇怪な設定でどの作品も陰鬱で頽廃的だ。それでは、三編をさくっと紹介しましょう。
夢魔の手 三一三号室の患者
息子が過去に自身で書いた日記を見つけることから物語は始まる。発狂して混乱する母親の元へお見舞いついでに、日記の内容を確認する息子。息子の日記の中だけでもミステリーが完結しているのが面白い。短い短編だがラストの捻りが面白い。
四〇九号室の患者
交通事故に遭い最愛の夫を亡くした未亡人。自身も大怪我を負ってしまい、両足切断に顔面には醜い傷が残ってしまった。これはまさに畸形である。身体醜形障害ともいえる主人公は自分の姿を鏡で確認することすら大いに恐怖を感じている。ラストに向けて急速に展開される謎の解明。吸い込めれていく作品。
フリークス 五六四号室の患者
表題作あって表紙の子が主人公。この短編には畸形が5人も出てくる。この5人の中に存在する犯人をさがす推理。雰囲気は江戸川乱歩の芋虫のような絶望や頽廃感が漂っている。この作品の面白いところは、畸形が先天的ではなく人為により後天的に畸形にさせられたという話。この短編はホラー要素が強い。覚悟して読みなされ…。
- 一つ目=サイクロプス
- 鱗男=スケイル・フェイス
- 傴僂=ハンプバック
- 三本腕=スリー・アームド
- 芋虫=キャタピラー
万人受けしない残虐と不条理に塗れた14編【他人事 – 平山夢明】

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