【他人事 – 平山夢明】万人受けしない残虐と不条理に塗れた14編
人間の暗い部分、触れては行けない部分、人としてやってはいけない事が全て詰め込まれているこの作品。暴力や残酷に太刀打ちできない「何もかも諦めた人」が本書の主人公である。 14編の短編が収録されていてどの作品も救いようがない。けしてハッピーエンドで終わらせないのが平山夢明の魅力である。14編のタイトルを下記に記載した。どのタイトルも面妖で面白味がある。
- 他人事
- 倅解体
- たったひとくちで……
- おふくろと歯車
- 仔猫と天然ガス
- 定年忌
- 恐怖症召還
- 伝書猫
- しょっぱいBBQ
- れざれはおそろしい
- クレイジーハニー
- ダーウィンとべとなむの西瓜
- 人間失格
- 虎の肉球は消音器
人生を諦めた主人公に襲いかかる無気力と残虐性・豪華14編
平山夢明はどの作品も救いようがなく暴力的で、尚かつ人間の暗い部分を描く。ここまで残虐的で不快な作品が世に出てくる事が不思議だ。 しかし、残虐性だけが著作の魅力ではない。著者は、普通の人では言及できない内容やタブーを代弁してくれる点だ。インパクトのある内容に少し触れてみよう。
引きこもりで社会的価値のない息子の殺害を企てる両親「倅解体」 日常に突如表れる理不尽な恐怖「仔猫と天然ガス」 レールに引かれた人生に絶望して自殺する「虎の肉球は消音器」 交通事故に合うも救助してくれない「他人事」 自殺を試みる女の子に迫る傍観者「人間失格」 所詮、「他人事」だから喜楽に読めるけど、これが現実に起きたら…。
【フリークス – 綾辻行人】精神病棟が舞台の畸形ミステリー短編集
面妖な表紙の子に誘われて本書を手にした。綾辻行人氏にしては珍しい幻想的なホラーとミステリーを融合させた作品。精神病棟を舞台に畸形で曰く付きな人たちが巻き起こすミステリー。畸形への畏怖と憧憬の描写が素晴らしい。

チャンネル登録、宜しくお願いしますー!
関連記事
-
-
【OUT – 桐野夏生】深夜の弁当工場で働く主婦たちの犯罪
[amazonjs asin="4062734486" locale="JP" title=
-
-
【時間の分子生物学 – 粂和彦】体内時計(概日リズム)と睡眠時間の関係
この本は好奇心を満たしてくれた。誰にでも持っている体内時計と睡眠時間の関係を遺伝子レベルから
-
-
旅小説10冊!海外旅行・バックパッカーがしたくなる!
様々なジャンルの小説を読んできた中から、海外旅行・バックパッカーがしたくなる小説10冊!を厳選した。
-
-
【電通洗脳広告代理店 – 苫米地英人】マスメディアを傀儡する電通の実態
日本のメディアを支配している電通。 この電通のタブーともいわれる内部に切り込んでいるのが苫米
-
-
【メルカトルかく語りき – 麻耶雄嵩】アンチフーダニット短編集!
帯に作者からのメッセージが込められている。これは作者からの挑発であり、ミステリファンであれば見過ごす