ゲルニカが描かれた歴史的背景を解説!ピカソの想いとは!?
パブロ・ピカソの代表作ゲルニカを、マドリッドのソフィア王妃芸術センターで鑑賞してきた。ソフィア王妃芸術センターには、ピカソ以外にもサルバドール・ダリ、ジョアン・ミロなどスペインを代表する近代芸術家たちが勢ぞろいしている。
そんな中でもやはりゲルニカが一番人気で、ゲルニカがある部屋は常に人が絶えなかった。みんなゲルニカに見入っていて、色々と考え込んでいる様子だった。私もその一人で、ゲルニカを30分以上鑑賞していたように思う。
ゲルニカはピカソの代表作品で近代芸術の代表作品ともいえる。ただ鑑賞するだけではなくて、ゲルニカが描かれた歴史的背景を知ることで、より深くピカソの想いを考察することができる。
そこで、今回はゲルニカが描かれた歴史的背景を分かりやすく解説して、これからゲルニカを見に行きたい人、ゲルニカやピカソに興味がある人たちへ向けて一役買えたらと思う。
ゲルニカが無差別爆撃を受けるまでの背景!
ゲルニカはスペインのマラガ出身のパブロ・ピカソによって、1937年に描かれた絵画だ。大きさは349 cm × 777 cmと大きく、ソフィア王妃芸術センターの中でも群を抜く大きさだ。
ゲルニカは今では反戦・反抗の象徴として世界中で絶賛されている。絵画の中には様々な動物や人間の感情が渦巻いている。それでは、ゲルニカが描かれた背景を見ていこう。
ゲルニカが描かれた1937年は、第二次世界大戦勃発の2年前ということで、様々な国の思惑が働いた年だった。
当時のスペインは共和派が国を治めていた、この共和派を支持していたのがソ連。対して、フランシスコ・フランコ率いる保守派が共和派を打倒するべく反乱を起こした、この保守派を支持していたのがドイツ。
ゲルニカを描いたピカソは共和派を支持。下記にこれをまとめた。
・共和派:マヌエル・アサーニャ大統領、支持国はソ連
・保守派:フランシスコ・フランコ総統、支持国はドイツ、イタリア、ポルトガル
ドイツ、イタリア、ポルトガルから支持を得たフランシスコ・フランコは、スペイン北部を次々と制圧。ドイツが義勇軍として支援したコンドル軍団が、ゲルニカを爆撃することになる。このゲルニカ爆撃は世界初の無差別爆撃とされている。
ゲルニカがあるバスク地方は、共和派の部隊はなかったものの、通信網や移動する上で重要な位置だった。そこでドイツを統治していたナチスは、実験的にゲルニカを無差別爆撃したのだ。
1937年4月26日の16:30〜19:30の3時間の間、20分おきに大規模な爆撃が行われた。罪のない一般市民が1,600人以上も殺されたのだ。
ゲルニカが無差別爆撃を受けた後にピカソはゲルニカを描く!
ゲルニカが無差別爆撃を受けた時、ピカソはフランスの首都パリにいた。パリ万国博覧会のスペイン館で、展示される絵画を描いていたのだ。ゲルニカの無差別爆撃を聞いたピカソは、テーマを変更して保守派・ドイツへの怒りについて描くことに決めた。
共和派を支持していたピカソは、なにも罪のない市民が無差別に殺された爆撃に激怒したのだ。だから、ゲルニカは悲しみの絵ではなくて激怒の絵なのだ。
ゲルニカが完成した後は、爆撃から逃げるようにロンドン、ニューヨークのMOMAへと渡った。その後、保守派を率いるフランコ総統が死去したため、ゲルニカを母国スペインへと戻したのだ。
反ナチス、反戦として描かれたゲルニカ。絵を見ると爆撃に苦しめられる動物や人間といったイメージしかないが、こういった背景を知ると鑑賞がより一層面白くなる。
ゲルニカの絵にはどういった意味が込められているのか!?
私はゲルニカの絵画自体を解説しようとは思わない。芸術自体、それを受け取る人の感受性で捉え方は全く異なる。絵画は芸術家の主義主張を如実に表現したものであり、それを受け取るのは鑑賞者なのだ。
鑑賞する絵画に関する歴史的背景と描いた芸術家の想いだけを知っていれば、その絵画を楽しむことができる。ゲルニカに描かれた牛の意味やキュビズムを用いた作法については、私にとってはどうでもいいことのように思う。
ただただ、過去起きた凄惨な爆撃に想いを馳せて、その爆撃に激怒したパブロ・ピカソの想いを感じながらゲルニカを鑑賞して欲しい。
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