【時間の分子生物学 – 粂和彦】体内時計(概日リズム)と睡眠時間の関係
この本は好奇心を満たしてくれた。誰にでも持っている体内時計と睡眠時間の関係を遺伝子レベルから紐解いている。基礎部分から順を追って説明してくれているので、生物学に関して無知であっても理解しやすい。
体内時計ってなに? 何故人は眠るのか? 何故時差ぼけが起こるのか?
この答えが本書に載っている!存分に生物学の魅力を味わってもらいたい。
体内時計ってなに?どうやって管理されているの?
よく耳にする体内時計、生物学的な正式名称は概日リズム(がいじつリズム)である。この体内時計は、人間を含む動物、植物、菌類、藻類など命ある生き物にほぼ備わっている。24時間を1日と換算し、食欲や睡眠、行動など全てを管理しているのである。
ではこの体内時計はどうやって作られているのだろうか。これはどの生物にも存在する遺伝子に起源を持つ。短絡的ではあるが、遺伝子がどのように体内時計を作っているのか以下にまとめた。
- 遺伝子=DNAは、4つの構成要素を持つ。構成要素の配列に情報が蓄積されている。
- DNAは、mRNAという物質にコピーされる。
- mRNAにコピーされた情報を元にタンパク質を発現させる。
- タンパク質の発現量が一定値を超えると、mRNAが機能しなくなる=この時間が24時間=体内時計に値する
細胞内の遺伝情報の流れ「DNA→mRNA→タンパク質」は生命の普遍的な活動であり、どんな生き物にも存在する活動である。この根幹を成している活動が体内時計をかたどっているのだ。
アラームが鳴る直前に起きた経験はないだろうか?
これこそが体内時計を日常で体感できるシーンだ。体内時計は睡眠を管理する役目も果たしている。24時間を1日と換算する司令塔=体内時計があるからこそ、毎日夜になると眠くなり朝になると起きることができるのだ。一定の生活サイクルが体内時計に蓄積され、アラームが鳴る直前に起きてしまうのだ。
分子生物学という学問から体内時計と睡眠の関係性を紐解く本書は、とても分かりやすく生物学の魅力を十分に感じさせてくれる。あまり意識する事のない体内時計について、本書を通して学べる事ができる。
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