【まだ誰も解けていない 科学の未解決問題 – 竹内薫】科学者が挑む世紀の問題
過去、様々な科学者が挑んできたが解決できなかった未解決問題を収録した本書。これほどもまでに好奇心をくすぐる本と出会えたのは久しぶりだ。代表的な12の未解決問題と、その問題の背景、解決後の考察についてまとめられている。
本書で取り上げられている未解決問題を端的に説明していこう。12個の内1個でも興味があるものがあれば掘り下げていこう。それでは、好奇心の扉を開けていこう!
ポアンカレ予想―コーヒーカップはドーナッツに変えられるか?
12個の未解決問題と謳っている本書ですが、ポアンカレ予想だけは解決済みです。
ポアンカレ予想とは、単連結な3次元閉多様体は3次元球面 S^3 に同相である……なんのこっちゃですね。簡潔に説明すると下記の図を数式を用いて証明することが、ポアンカレ予想です。絵でみるとコップからドーナツに変遷している様子が分かりますが、これを数式で証明した人がいるなんて驚き。
大量絶滅―9割の生物が死滅したとき何が起こっていたのか?
地球は5回の大量絶滅を経験している。オルドビス紀末、デボン紀末、ペルム紀末、三畳紀末、白亜期末の5回。
大量絶滅には隕石の衝突による氷河期、火山噴火、大陸移動など様々な仮説が存在する。ただ、仮説であって証明する事はできない。5回に及ぶ大量絶滅によって生物は総入れ替えしている。果たして人類は6回目の絶滅に直面することになるのか。
ブラックホール―光では見えない天体をいかにして見るか?
強い重力を中心に光さえも吸収してしまうブラックホール。人間は光がなければ物を見る事ができないので、ブラックホールを見る事は不可能である。現状はブラックホールから放出されるX線を捉える事には成功している。
進化論―生物の「進化」を証明することはできない?
大量絶滅にも関係する話だが、絶滅を繰り返すたびに、生物は環境適応や進化を遂げている。ただ、長い年月をかけてゆっくり遺伝子は変化し進化していくので、その過程を証明するのは現状する事ができない。
タイムマシン―過去への旅を可能にする奇抜なアイデア
相対性理論から未来へ行く事は数式では証明されている。飛行機やロケットなどの速度の早いものに乗ると、地上にいる人たちと比べて相対的に時間がゆっくり経過する。ゆっくりといっても0,000000…1秒の話。ただ、過去への時間の揺らぎはまだ証明されていない。
相対性理論については、こちらで詳しく解説しているので読んでほしい。分かりやすく簡潔に解説してみました。
世界一周すると59ナノ秒タイムスリップする!相対性理論を理解しよう!
ウナギ―あまりにも不可解な生態 ウナギの繁殖地とは?
この話は驚いた。鰻の産卵や稚魚がどのような仮定で育っていくのか、未だ証明されていない。鰻は元々深海魚から進化した生物されていて、産卵の多くはマリアナ海溝付近で行われている。これは日本人が発見したのだ。マリアナ海溝付近で生まれた稚魚は、長い道のりを辿り海から川へ昇っていく。何故、このような行動をとるのかは未だ不明だ。
不確定性原理―“ゆらぎ”か測定誤差か 量子力学の常識が覆る?
素粒子は常に振動しているとされている。この振動を正確に位置を特定する原理はまず解決されていない。
性―不合理なシステム?性はなぜ存在するのか
単細胞生物は分裂を繰り返して子孫を残していく。それと比べて人間などの多細胞生物は、異性と性交することによって子孫を残す。単細胞生物に比べて多細胞生物の方が非合理的ではないかという仮説。何故、性というものが存在するようになったかは未だ解決できていない。
リーマン予想―“怪物”関数の性質とは?数学者を狂わせる超難問
1,3,5,7,11…素数を定量的な数式で表そうとする試み。面白かったのが素数が表れる周期と素粒子の運動エネルギーが相関しているという点。素数を公式で導きだせるようになれば、素粒子の謎も解決する可能性があえる。
麻酔―なぜ効くのかわからないに直に潜む“意識”の謎
医者は麻酔が何故効くのか分からないまま使っている。シナプスの表面に存在する穴(レセプター)を防ぐ役割が発見されつつあるが、未だその実態は分かっていない。
心脳問題―物質から心は生まれるか?人類最古の問題の突破口
心と体。唯物論と唯心論。われ思う故に我あり。心身二元論。この問題は人類至上最大の謎である。人間の心を果たして物質的に証明できる日がくるのか。証明できれば心を自由自在に操ることも可能だ。
超ひも理論―すべては11元の“ひも”から始まった
これは素粒子の話。ビックバン時は11次元だったがエネルギーの発散で3次元に縮小された。どの次元でも自由に移動できるのが重力とされている。この重力の謎を調べる事ができれば解決の糸口が見てくるかもしれない。
科学者が挑む、未解決問題を解決できれば人類は進歩する!
人類が誕生して科学者は幾度となく色々な問題に挑戦してきた。我々が学校で学ぶ学問は全て解決済みのものである。未解決問題を調べてみるとまだまだ人類が発展できる余地が見えてくる。各国はもっと科学技術の発展に予算を費やし、世界が一丸となって問題解決に取り組むべきである。
また、誰にでもこの未解決問題に挑戦することはできる。科学に関して全くの無知でも、意外と勉強してみれば科学は面白い分野。私が科学に興味を持ったデアゴスティーニだ。
これほど面白いサービスはない。定期的に送られてくる科学キットには本当にわくわくさせられた。少しでも科学に興味があれば、デアゴスティーニは一度はとってみても面白いかもしれない
半導体工作キットの【Arduinoをはじめようキット】をはじめてみた!

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